私達は、日々の生活で、心魔(こころま)を生じ、見えない邪気を受け、罪・穢れが溜まっていってしまう。
でも私達人間には、それらを取り除くことはなかなか難しい。
「罪や穢れは、放っておいたら、着物を重ね着するように人間にまといつき、ついには人間を
窒息させてしまう。といって着物を脱ぎ捨てるように簡単に放り出せる代物でもない。〔…〕
雲散霧消するようななまやさしいものではないのである」 『神道民俗芸能の源流』鈴鹿千代乃著 国書刊行会(平成14)
神には、強力な祓えの呪力がある。
罪・穢れを吸い取り、封じ込め、神の世界に持ち去って消滅させることができる。
神道は、この神と祓えの世界観を、太古、縄文の時代から連綿と受け継いできた。
ところで、祓えにおいて、とても大事なものがある。
それは、神を畏れ敬う(おそれうやまう)気持ち。
この世界は、陰・陽の対から成っている。一方だけでは存在しない。
なのに人は、自分の都合よく陽だけを得ようとする。そして、陽が得られなければ、誰かのせい、神のせいにする。
私がこんなに頑張ってるのに、こんなにお願いしてるのに、なぜ叶えてくれないの、と、神と取り引きしようとする。
畏れ敬う神(自然)の御前において、
陰・陽の両方を受け取る覚悟と、人としての謙虚さと、ありがとうの心があれば、
力を増した強い呪力によって、あなたの罪・穢れは祓われる。
そして、元来あなた自身が持っている、聖なる力が甦る。